BSP「新選組」のDVDを観た話 ②

BSP新選組を観て1番の発見は、松田岳の演技がとにかくやばいということですね。今まで松田岳くんのオフ(バクステとかアフト)での喋りをほとんど聞いたことがなかったんですけど、ちょと検索すると「ふわふわ」ってワードが出てくるんですよね。そんなふわふわボーイ(?)があの吉田稔麿坂本龍馬を……?って思うと俄然松田岳って俳優さん自体に興味が湧いてきました。どんな解釈であの2役にたどり着いたんだろう。しかも冒頭の呼び出しみたいなものも岳くんが言っている?んです?どっから声だしてんの……すごい……。岳くんが出演している2.5次元作品も見てみたいんだけど、どちらかというとオリジナル脚本の役が見てみたい。岳くんの解釈と役作りの割合が多そうな作品が見てみたい。

 

その岳くんについても含めて。宵と終の感想です。

 

宵ノ章:土方歳三の憂鬱

宵ノ章前半の主役は土方歳三で、演じるのは田中尚輝くんなんですけどすっごく意外ですっっっっっっっっっっっごく良かったです。私の中では田中尚輝くんといえばハイステの菅原さんとかプリステの遊馬のイメージなのでBSP見る前は土方さん役ってどうなんだって思ってたんですが杞憂でしたね!この話の土方さんは人を斬ることに苛まれて、狂気に捕らわれそうになってしまう。そんな危うい土方さん……見ているこっちの内臓が抉られる感じなんですよね……。最後に拷問していた相手を抱えながら「すまん」って言うシーンがあるんですけど、ここすごく好きです。直前のシーンが狂気のシーンなので、ちゃんとまだ人らしくて良かったって気分になる。ここの差が上手いんですよね。芹沢鴨を殺した後にペタンと座り込んでいるシーンもあるんですけどここも好きでした。今までの土方さん像とはちょっと離れるけど、より人間らしい、弱さが魅力になる土方さんでした。

 

宵ノ章:沖田総司の純愛

先日ハイステで田中先輩を演じている鐘ヶ江くんを見たんですけど、もうずっと田中龍之介やってましたけど?ってくらい役に馴染んでいて、それなのに凄まじくかっこいい先輩!な田中先輩だったのでこれもう鐘ヶ江くんの当たり役になるわ〜〜って思ってたんですが、沖田くんを見た瞬間、同一人物か……?ってくらい沖田くんが沖田くんらしい沖田くんでこの人は何にでもなれるんか……って驚きました。

宵ノ章の後半は主に池田屋事件なんですが、これが良い〜〜〜!!!!新選組といえば池田屋なんですが、BSPのかっこいい新選組がギュギュッと凝縮されていました。それぞれに殺陣の見せ場に拍子木のカカッて音と共に決め台詞があるんですがこれが良い〜〜〜〜〜!!!!!かっこいいシーンには拍子木が必要(?)。新感線で学んだ。土方さんも前半のあれこれが吹っ切れたのかめちゃくちゃかっこ良かったです。池田屋の最後に近藤さんに「人を斬るのはつらいですか?」って聞かれるんですけど「つらいと思えるのは人である証拠です」って言われていて、一番理解してほしい人が理解してくれていて良かったね〜〜〜〜〜!!!!!!ってなりました。

松田岳くんの吉田稔麿が1億点って感じでしたね。ここから「気持ち悪い」は褒め言葉です。ゾワゾワっとする居心地の悪さを醸し出す天才か。松田岳くん演じる吉田稔麿は日本の未来を案じる尊皇攘夷の志士なんですが、もうなんか、いい意味ですごく嫌な雰囲気を纏っているんですよね。衣装は黒の着流し、足元は裸足ってだけでもうこの浅葱色の中では異質も異質。しかも台詞回しも、語る内容とは裏腹に粘度が高くて嫌な感じがする。静と動の振れ幅がすごいんですよね。スーッと新選組の間をすり抜ける時もあれば、獣みたいに対峙する時もある。水みたいなのにドロッとした雰囲気もある。そういえば、仲間の志士に己の欲望のままに動いてるだけだって指摘されて強く否定するんですけど、ここの喰い気味の「違う」は結構印象的というか記憶に残ります。でもずっと色っぽさがあって目が離せない。息絶えた他の志士が着物の中に入れていた脇差を取り出すシーンがあるんですけど、すごい色っぽくて稔麿やばいなって思いました。個人的にはこの吉田稔麿がどうやって死を迎えるのかめちゃくちゃ気になってたんですけど、その瞬間が見られなかったのがちょっと残念だったな……静かに息を引き取っても、鮮烈に死んでも記憶に焼きつけられそう。

 

終ノ章:志士たちの悪夢

終で坂本龍馬を演じるのも松田岳くんなんですよ〜〜〜〜!!!!!!すごいんですよね、陽の気が!!!!!!!暁、宵とあの嫌〜〜〜〜な雰囲気を纏った吉田稔麿を演じていた松田岳が軽やかに駆ける坂本龍馬を演じるんですけど、もうマジで坂本龍馬新選組とはほとんど関わりが無かったと言われている坂本龍馬なんですが、BSPでは沖田くんとがっつり関わる。近江屋事件の日に逢う二人が本当に良い。伊東は思想で相対しても袖にされたのに、沖田くんには最後まで一緒に来ないかと誘い続けるんですよね。このころにはもう沖田くんは病に侵されていたし、新選組には恩義があると言って断るんですけど、世界を見つめ駆けていく龍馬は沖田くんの目にはすごく輝いて見えたんだろうなぁ。松田岳くんの龍馬、気軽に人の人生を狂わせる男だった。

 

終ノ章:志士たちの面影

冒頭、松本良順先生が「実に人らしいじゃないか」と言いながら見つめる先には土方さんがいて感慨深いな……散々、獣だなんだと言われ続けたけど最後の話の冒頭でちゃんと「人」であることを前提として話をしてくれて良かった。

OPで龍馬が出てくるときの演出が良い……!!!!!OPも全体的に影の落ちる照明なんですけど、龍馬が出るときにだけパァッと明るい光に照らされるんですよね。真っ直ぐな視線にも光が入っていて終にしか出ていないのにこんなに存在感に説得力が出せるんだな……。

OP後からは畳み掛けるように新選組にとって悲しい出来事が続く。所々にこれまでを思い返すようなシーンがあるんですが、沖田くんの病がかなり重くなってしまったとき、自分のことを苛む声の最後に聞くのが龍馬の言葉なの、本当にエッッッッッモいな……

その沖田くん、終に入ってからすごく弱々しいというか病的な感じが出ててすごくびっくりします。照明なのかメイクなのか、お芝居からなのかすごくげっそりして見える。暁、宵では元気で飄々とした沖田くんそのものなので、一つの公演期間に終の弱々しいお芝居もできるのすごいですよね……

油小路から五稜郭までをかなり駆け足で進んでいくのでちょっと感情が追いつかない部分もあるんですが、だんだん仲間が離れていってたった一人になってしまっても土方さんがすごく強くて、エッッッッッモ……ってなりました。誰より人を斬ることに苛まれながら神経を衰弱させてた土方歳三はそこにはいなくて、力強く馬で駆ける姿はかっこよかったって感想しか無いです。試衛館のバラガキから、あの危うい時期、そして最期のときまで土方歳三の成長記録のようでもありましたね。

 

ずっと言っているんですがマジのマジで現場で観られなかったことを後悔してるんですよね……悲しみ。ダンスや殺陣を現場で観られなかったのはもちろんお芝居の雰囲気を現場で感じたかった。新作の「新選組リメンバー」はお祭り(?)らしいんですが、団扇持っていいってどういうこと……?こんなに心掻き乱されたのにめちゃくちゃ楽しいお祭だったらどうしよう。すごく明るいシーンで泣きそう(笑)団扇握り締めながら素振りの歌で咽び泣くオタク現れない?大丈夫?でも楽しみだよね。そうだね。

 

感想というか覚え書きでまとまりのない文章になってしまったな……無駄に長い文章読んでいただきありがとうございました!